共有物が存する土地。
今回のご紹介事例は、
・「敷地内の共有物の解消」
・「ずれてしまっていた筆界杭の位置を訂正」
この2点の交渉で奮闘した案件のお話しです。
この敷地内にはブロック塀があり、下の図のように筆界を跨ぐようにして造られていた事が、
過去に行われた確定測量の資料から明らかになりました。
(筆界、確定測量に関しては、「こちらのブログ」をご覧下さい。)
このように真ん中に造られているケースは、昔ながらの分譲地にはよくあります。
とはいえ、「共有物は極力解消した方が良い」と私は考えています。
(共有物に関しては、「こちらのブログ」をご覧下さい。)
買主の方もその意見には賛同され、共有ブロックは解体して共有物を解消し、
買主負担で敷地内にブロックを積み直したいという意向を確認しました。
そして数日後、現地で隣地所有者との立ち会いを行った結果、隣地Aとの境の筆界杭が、
一箇所ずれているという事も判明しました。(今回の売買対象敷地はB。)
その杭はプラスチックで、土に刺さっているだけだったので、雨風の影響で数センチ、
買主が購入する敷地側へ倒れてきていました。
この結果を土地家屋調査士からAの隣地所有者へ状況を説明し、杭の位置を訂正する事と、
併せてブロック塀を解体し、共有物を解消させて欲しいという旨を伝え、
2点ともの承諾も得ることが出来ました。
ところが後日、Aの所有者から土地家屋調査士へ連絡が入りました。
内容は、「立ち会いの日には、杭を戻して良いと言ったが、やはり戻してはいけない。
また、ブロックも壊さないで欲しい。」との事でした。
話を聞くと、Aの所有者の方も、Aの土地を購入する際に、傾いた状態の「この筆界杭が正である。」
という説明を、当時仲介をした不動産屋から受けていた事が分かりました。
それから年月が経ち、更に杭は傾いてしまっていたのです。
しかし、この傾いた杭を認めてしまうと、今後も倒れ続ける杭を認める事になり、
筆界がどんどんずれていくことになります。
そうなると、どこのラインに合わせてブロックを積めばよいのかも分かりません。
その為、なんとか杭を正しい位置に戻す事と、ブロック塀を解体し、共有物を解消する事の
交渉を続けましたが、最後まで承諾を得る事は出来ませんでした。
その結果を買主の方に報告したところ、「そこまで交渉して無理ならしょうがないので、その状態で
購入します。」という回答を頂きました。
C側の隣地所有者の方は、ブロックの解体を承諾して下さったのでC側のブロック塀だけ解体し、引き渡しを終えました。
結果としては買主の方の意向を全て満たすことは出来ませんでしたが、問題の解決に向けて奮闘し、
買主が今後、暮らしていく中でのリスクを把握してもらった上で取引を進めた、買主専門店らしい
案件のご紹介でした。
また別の取引事例も書いていきますので、是非チェックして下さい!
桂山